お取り組みの背景と概要

JR東日本様による長野県・北信濃エリア観光型MaaS(※)「旅する北信濃~牛(スマホ)にひかれて善光寺御開帳~」にて、2022年春から夏にかけて、観光用ARコンテンツを実施しました。対象エリアの駅周辺や街中では、観光スポットや対象店舗の情報がスマートフォンにARとして表示されます。
※Mobility as a Service=移動の利便性を上げるサービス

長野駅の自由通路から、善光寺方面のバス停までの案内もARで表示。快適かつスムーズな旅行を、多くの方に楽しんでいただきました。

また、屋内外を問わず高速で正確に位置情報を特定できるソニーのVPS技術を活用することにより、長野駅周辺の位置や建物の情報を正確に認識、場所や建物の形状に合わせて、圧倒的な精度と表現力でのARコンテンツを出現させ、お楽しみいただきました。

導入企業様へのインタビュー

石原様樋口様画像

今回「XR CHANNEL」を導入されたJR東日本 イノベーション本部の石原様、当時、JR東日本 長野支社のご担当で、現在は、ジェイアール東日本企画の樋口様にお話しを伺いました。

【導入のきっかけ】

JR東日本では、お客さまが改札内を移動される際に目的地まで円滑に移動できるよう支援、補助することを目的に統一規格の案内サインを導入、整備、改良を日々進めております。

一方で、地方の駅では改札を出た後の案内サインのデザイン等は様々な背後要因によって各駅で統一されていないケースが多く、ユーザー視点で考えた場合、バスやタクシーなど乗り換え先や各種目的地への案内情報の提供に課題を抱えています。

バスやタクシーといった他の交通事業者との連携拡大を検討する際、改札を出た後の二次交通までの接続を今以上に支援する方法について日夜模索を続けています。

【導入の決め手】

イノベーション戦略本部では、2020年11月に東京駅で実施したアートイベント「TOKYO STATION AR ART PROJECT」でSoVeCのXR CHANNELを導入。また2022年1月に原宿駅・明治神宮で実施したイベント「HARAJUKU MEIJIJINGU AR PROJECT」では、見どころスポットを案内するARコンテンツを提供する新しい観光体験の実証実験を実施しました。両取組みとも反響が大きかったため、次世代のデジタルテクノロジーであるXRを用いた新しい観光体験価値向上の取組みを展開していく事を検討しはじめたところでした。

また、その頃長野支社がコロナにより一年後ろ倒しになった善光寺の御開帳に合わせた観光キャンペーンを行うということもあり、XRを用いた施策の企画にとても興味を持ち、一気に実現に向けて、動き始めました。

XRを用いた観光キャンペーンとして長野駅から善光寺まで導かれるような表現を検討していた際、SoVeC様から当時ソニーが開発していたセンチメートル単位でのXR表現を可能にするソニー製のVPSを用いる方法の提案を受けました。結果、善光寺の伝承にある牛が長野駅内を縦横無尽に駆け巡るという奥行表現によって風景とマッチしたコンテンツを制作することができました。最近は一般的になり始めたXRですが、これをいち早く取り入れた取り組みだったと思います。

(注)「HARAJUKU MEIJIJINGU AR PROJECT」は JR東日本様とKDDI様による観光用ARコンテンツです。

【実際の反響】

実施してみて、社内外から、「凄い!」というポジティブな反響があり、とても手ごたえを感じました。

長野駅前広場を駆け抜ける牛のコンテンツでは、柱の前だけでなく後ろがわも駆け抜けていくという、奥行きのある表現がとてもリアルで体験された方々から、「圧倒された!」というお言葉をいただき、地元のメディアにも取り上げていただきました。

通常、見知らぬ土地で行きたいところや探したいことがある場合、webブラウザから検索することが一般的かと思います。しかし、XRでの体験は能動的に検索してもらうのではなく、受動的に情報を受け取ることが可能になるため、XRを通して本来気づくことのない情報や魅力に気づいてもらうことが可能になります。

これら案内サインなどのリアルな設備に求められる機能を掲載情報の更新等の自由度が高いXRというデジタルサービスで補う本実証は大きな反響を得ました。案内サインなどの鉄道会社の設備管理を担当してきた立場として、XR技術の大きな可能性を感じずにはいられませんでした。
また、XR技術による新しい観光体験価値の提供という点からも、社内外から大変好評で、これまで取り組んできたことが間違ってなかったと認識できた施策でした。

【今後の展望】

今回は、いろいろ初めての試みでしたが、長野支社の協力により大成功となり、体験された方やメディアからもとても大きな反響をいただくことが出来ました。長野で行った実績が、他の支社・観光地からも、同様の取り組みを行いたいという要望をいただき、XRによる観光案内の仕組みを様々な箇所でも実施できるようプラットフォーム化し、甲府、石和温泉、前橋、鶴岡、武蔵五日市とさまざまなエリアで展開を行っております。

今後ですがXRで出現される情報がよりコミュニケーションツールとして、発展していく可能性を期待しており、また、観光大国ニッポンとして、海外の方がより観光しやすいデジタルサービスとしての発展を期待しております。

SoVeCのXR CHANNELのご紹介

「旅する北信濃~牛(スマホ)にひかれて善光寺御開帳~」は、SoVeCが開発した国内初の3DマップARアプリ「XR CHANNEL(エックスアールチャンネル)」を活用しています。

XR CHANNELには、高精度なAR表現が可能になるソニーのVPS技術を取り入れています。これによって従来のARアプリよりも正確で詳細な位置情報を取得できるようになり、現実世界とほぼ完全にリンクした、質の高いAR体験が可能になりました。

【旅する北信濃】実際のARコンテンツ

「旅する北信濃~牛(スマホ)にひかれて善光寺御開帳~」で提供されているARコンテンツは以下となります。

駅広場ARイベント

駅前広場ではARコンテンツによるイベントが開催されました。長野にゆかりのあることわざから着想を得た「空駆ける牛」を、VPS技術を用いたARでリアルに表現しています。

駅のモニターから飛び出して宙を駆け回る牛。道を作るように次々と開く和傘。空を彩るカラフルな紙吹雪。これらの演出は北信濃の旅をより楽しく、思い出深いものにしてくれることでしょう。

ソニーのVPS技術を活用することにより、長野駅周辺の位置や建物の情報を正確に認識、場所や建物の形状に合わせて、圧倒的な精度と表現力でのARコンテンツを出現させることが可能になりました。特に、奥行きを正確に認識することにより、柱の前後を牛が駆け抜ける様子がダイナミックに表現されています。

長野駅前広場でのARイベントでは大迫力のARオブジェクトが出現画像

駅周辺AR案内サイン

JR長野駅の北陸新幹線等の改札口から、善光寺や観光地に接続するバスや私鉄、駅レンタカーといった二次交通までの案内をARで表示し、MaaSと連携しています。

駅の付近であれば、バス乗り場や駅レンタカー店舗までの案内が表示され、迷うことなく二次交通乗り場まで辿り着くことができます。

JR長野駅の新幹線改札口から、二次交通乗り場までの案内をARで表示画像

街なかAR看板

観光スポットや店舗の前でスマートフォンをかざすと、AR看板が表示されます。

GPSを活用したAR看板で観光地や交通機関などの情報を表示画像

看板には現在地から駅や観光スポットまでのおよその距離、店舗や観光スポットの観光情報などが表示されており、快適な旅をサポートしてくれます。

その他のJR東日本様とのお取り組み

「旅する北信濃~牛(スマホ)にひかれて善光寺御開帳~」の他に、SoVeCのXR CHANNELを活用したJR東日本様のイベントをご紹介します。

超駅博上野

鉄道開業150年の折に行われた文化創造イベント「超駅博 上野」では、AR 車両フォトスポットにおいて「XR CHANNEL」が活用されています。

本イベントではJR上野駅のホームにスマートフォンをかざすことで、115系電車、EF64形電気機関車の鉄道車両がARで出現。車両本体の鋼材や塗装の質感、車両内は座席モケットから網棚、つり革などはもちろん、車両の経年変化や傷、修復跡などまでが忠実に再現されています。

JR上の駅ホームに出現するAR車両画像

VPS技術を用いることで、リアリティを徹底的に追求しているのもポイントです。プラットフォームや駅構内の柱などの構造を認識し、それらの構造に合わせた立体感の表現、奥行きの表現、陰に隠れる表現などが行われます。

HAND!in YAMANOTE LINE -山手線でアートと音楽を楽しむ30日間-

山手線沿線の駅やまちを舞台にしたイベント「HAND!in YAMANOTE LINE -山手線でアートと音楽を楽しむ30日間-」では、「XR CHANNEL」を活用することで115系電車やEF64形電気機関車をARコンテンツとして出現させました。

東京駅改札外 丸の内駅前広場に出現するAR車両画像
新宿駅改札外 Suicaのペンギン広場に出現するAR車両画像
上野駅入谷口 改札外 パンダ橋に出現するAR車両画像

本イベント以前に行われた「超駅博 上野」では、JR上野駅の線路上に115系電車、EF64形電気機関車を、プラットフォームや駅構内の柱といった構造物との位置関係をふまえて忠実に再現しました。

今回、車両が出現したのは線路の上ではなく、広場や橋の上です。車両の立体感や奥行きといったリアリティは残しつつ、あるはずのない広場や橋の上に車両が出現するという非日常も体験できるイベントとなりました。

ARは地域活性化・観光に活用できる

スマートフォンを介することで実際には存在しないものを出現させるARは、これまでにも地域活性化・観光に大いに活用されてきました。ARは何気ない日常や特別な旅行の1日を、より豊かなものにする力を秘めています。

また、AR案内マップやAR看板を取り入れることで、観光に訪れる方々の安心・快適な旅行をサポートすることも可能です。

地域活性化の際には、ぜひARの導入やARイベントの開催をご検討ください。

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XR CHANNELはソニーのVPS技術を採用することで、従来よりも臨場感のあるARコンテンツの表示が可能に。ARコンテンツが現実世界に融け込むので、地理や建物の形を活かしたイベントの開催に最適です。

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