お取り組みの背景と概要

JR東日本様が主催する鉄道開業150年の歴史と共に、地域の文化と未来とを体感していただく文化創造イベント「超駅博 上野」にて、KDDI株式会社の技術を活用、連携し、AR車両フォトスポットを設置しました。

半世紀近く走行し、現在は走行している姿を見かけることが少なくなった115系電車とEF64形電気機関車を、XR CHANNELを使ってJR上野駅のホームに出現させます。

AR車両の3DCGでは、車両の外装の質感や傷、吊り革など内装の細部まで忠実に再現し、小さなお子様から鉄道ファンの皆様まで多くの方々に喜んでいただけました。

導入企業様へのインタビュー

今回「XR CHANNEL」を導入されたJR東日本様 イノベーション戦略本部の飯野様と石原様にお話を伺いました。

AR車両

【導入のきっかけ】

「超駅博 上野」において、歴史ある車両をARで表現し、実際の上野駅のホームに正確にARで出現させるという企画が立ち上がりました。

【導入の決め手】

元々、2020年11月に東京駅で実施したアートイベント「TOKYO STATION AR ART PROJECT」でXR CHANNNELを導入、2022年4月の長野駅における観光型MaaS「旅する北信濃~牛(スマホ)にひかれて善光寺御開帳~」で同じくXR CHANNELでの、Sony VPS(詳細は「SoVeCのXR CHANNELのご紹介」にて解説)の高精度な位置情報を活用した表現技術の精緻さや、ARコンテンツの反響の大きさを実感していました。
「超駅博 上野」でも、実際の上野駅ホームおよび線路にARの列車を表現するために、JR東日本ならではのソリューションとしてSony VPSが採用されたXR CHANNELを活用するのが最適だと考えました。

【実際の反響】

Sony VPSの高精度な技術により、数センチと違わず線路ぴったりにAR車両を出現させることができ、そのリアリティに鉄道ファンも驚いていました。
また、かつてこれらの車両に乗っていた年配の方々も懐かしがってくれました。

【今後の展望】

今回のイベントをきっかけに、AR用に制作した車両のCGデータをアーカイブするという可能性が広がってきました。古い車両は時期が来れば引退せざるを得ない一方で、歴史的な価値を持っています。
SoVeCの高いCG技術があれば、古い車両をCGでアーカイブできるのではと考えています。

なお、本イベントのAR車両は、テクノロジーの展示会「CEATEC」や鉄道技術展でのJR東日本のブースでも活用されています。こちらのAR車両を、VRを用いて間近に見られる体験や乗車したような疑似体験を提供しました。
これらも、高精細なCGで車両をコンテンツとしてアーカイブしたからこそできる、新たな活用方法だと実感しました。

また、古い歴史的な車両だけでなく、例えば駅舎のような大きくて残せないもの、文化財として価値の高いものもCG化し、ARとして体験が出来るようにしていくという可能性があります。
SoVeCのXR CHANNELを使って、駅舎などをかつて実際にあった場所にARで再現することもできるのではないでしょうか。

今後、さまざまなイノベーションによる実証実験を行い、その成果を鉄道業界や社会に新たなサービスやビジネスとして展開していくこと、そして歴史的な施設や車両等をアーカイブし、将来へ歴史・文化を継承することを検討していますが、その両方でARの可能性が大きいと考えています。

SoVeCのXR CHANNELのご紹介

本イベントは、SoVeCが提供するARメディアアプリ「XR CHANNEL」を活用しています。

XR CHANNELには、ソニーが開発した高精度VPS(Visual Positioning System)技術を採用。VPSとは画像情報から位置を特定するシステムのことで、これにより正確な位置情報の取得が可能となり、3Dオブジェクトをずれることなく数センチ単位で正確に表示させることができます。

従来のARでは、「位置情報の誤差により、オブジェクトの表示位置がずれる」「都市部や屋内などでは位置情報が取得しにくい」などの課題がありました。これは、GPSを活用して位置情報を取得することが一般的であったためです。

一方、VPSを活用したARでは、3Dマップとカメラに映った画像をAIが解析するため、数センチ単位で正確な位置を特定することができます。また、GPSでは取得できない「ユーザーがどこを向いているか」という方向に関する情報も取得可能です。

さらに、GPS電波の届きにくい都市部や屋内などでも、正確に位置情報の取得ができます。

本イベントでは、JR上野駅構内の3Dマップを作成。例えば柱のあるところではオブジェクトが隠れるなど、まるでそこに車両が実在するかのようなリアリティある表現を可能にしています。

VPS技術の詳細は、次のページで解説しています。

高品質なAR体験を実現するVPSの仕組みと活用事例~ソニーのVPSを活用~

【超駅博 上野】実際のARコンテンツ

AR車両

XR CHANNELをダウンロードしたデバイスをホームにかざすと、車両が出現。モーター音やヘッドライトの点灯なども再現されています。
もちろん、車両と一緒に記念撮影も可能です。

電車の3DCG

ARコンテンツの車両は、大量の写真を合成する「フォトグラメトリ」という技術で作成されています。
車両が格納されている新潟車両センターにて、ドローンを使用し360度精緻に車両を撮影。写真から3Dモデルを作成し、同じく写真を元に作ったテクスチャを貼り付け、車体の傷や補修の跡など本物の車両をほぼそのまま再現しています。

作成した3DCGはデジタルアーカイブとして保存され、JR東日本のさまざまなイベントにおいて活用されています。

その他のJR東日本様とのお取り組み

その他、SoVeCのXR CHANNELを活用したJR東日本様のイベントをご紹介します。

HAND!in YAMANOTE LINE -山手線でアートと音楽を楽しむ30日間-

JR東日本様主催のアートと音楽の祭典「HAND!in YAMANOTE LINE」にて、AR車両フォトスポットを設置。
「超駅博 上野」でも好評だった115系電車とEF64形電気機関車のAR車両を、今度は東京駅・新宿駅・上野駅の駅前広場に出現させました。

旅する北信濃~牛(スマホ)にひかれて善光寺御開帳~

「旅する北信濃~牛(スマホ)にひかれて善光寺御開帳~」は、JR東日本様による長野県・北信濃エリアにおける観光型MaaS(Mobility as a Service=移動の利便性を上げるサービス)です。
駅周辺や街中で、交通機関や観光地の情報をAR看板で表示します。

ARでのイベントをご検討中ならSoVeCのXR CHANNEL

SoVeCの「XR CHANNEL」で、イベントに付加価値を。「XR CHANNEL」ではハイクオリティの3DCG技術と最新のVPSを組み合わせ、来場者にこれまでにない驚きや感動を提供します。

「XR CHANNEL」を活用したARイベントの事例をさらにご覧になりたい方は、以下のサービスページをご参考にしてください。