XR Street Lens in Obiyamachi
国交省 四国運輸局様と描く、観光DXの新しい街歩き体験
後編
帯屋町商店街の取り組み
帯屋町商店街は、高知市中心部に位置し、観光客が高知城へ向かう導線上にある商店街です。訪日外国人観光客を含め、多くの観光客が行き交うエリアである一方で、何の店か分からない、どのような商品があるのか伝わらないといった理由から、店舗の前を通っていても、そのまま通り過ぎられてしまうケースが多いという課題がありました。
帯屋町商店街ではこれまでも、AIカメラによる通行量データの取得や各店舗のデジタル化支援など、データやITを活用した取り組みを進めてきました。そうした流れの中で今回、四国運輸局様、高知市様からの提案を受け、新たな取り組みとしてXR施策に参加しました。
今回は、帯屋町商店街 協同組合帯屋町筋 早川様・秋永様に、実際に参加した結果や感想についてインタビューしました。
現場の声
共同組合 帯屋町筋 事務局長 秋永 剛志様
SoVeC株式会社 企画・ビジネスプロデュース ジェネラルマネージャー 梶尾 桂三
【Q】もともと感じていた課題について教えてください
「高知新港には、連日大型のクルーズ船が寄港し、多くの外国人観光客が、帯屋町商店街を訪れていて、高知や帯屋町商店街の魅力をもっと知ってもらいたいと考えていました。」
店舗にはそれぞれの魅力がありますが、外から見ただけでは伝わりにくいという点がありました。
特に外国人の方の場合、表示が読めない、内容が分からないといったこともあり、入店のきっかけがないまま通り過ぎてしまう状況があったと思います。
【Q】インバウンドやデジタル対応についてはどのような状況でしたか?
必要性は感じていたものの、実際にどこまで対応すべきか、どう進めるかについては難しさがありました。
また、店舗ごとに状況も異なるため、商店街全体として統一的に取り組むことの難しさもあったと感じています。
【Q】今回のXR施策を導入してみて、どのような変化がありましたか?
店舗の前で、スマートフォンをかざすことで、店主がARで表示される、商品や店舗の特徴が分かるといった形で、これまで外からでは分からなかった情報が、その場で理解できるようになりました。
その結果として、その場で立ち止まる、内容を確認するといった動きが見られるようになり、これまでとは異なる接点が生まれていたと感じています。また、AR体験や買い物をした方への抽選の仕組みもあったことで、単に情報を見るだけではなく、試してみたくなる体験になっていたことも印象的でした。その流れの中で、他の店舗にも関心を持つような動きがあったと感じています。
加えて、従来のAR施策のようにQRコードを探して読み込むのではなく、 アプリ無しでウェブにアクセスするだけで、街にスマートフォンを向けることで情報が立ち上がるという体験は、商店街という空間と非常に相性が良かったと思います。街歩きの延長で「街をかざす」ことで、自然に回遊につながる感覚がありました。
【Q】今回の施策の中で、特に印象に残った点は何でしたか?
今回、商店街として強く感じたのは、技術そのものよりも、「人の温もり」を伝える手段になり得るという点です。もともと商店街の魅力は、それぞれの店主の人柄や、お店ごとの思いにあります。
今回の施策では、店主の顔が見えることで、単なる店舗情報ではなく、「どういう人が迎えてくれるのか」まで含めて伝わる形になっていました。結果的に、先端技術であるXRが、「人の温もり」や「商店街らしさ」をより一層表現してくれたと感じています。
【Q】これまでの取り組みと比べて、どのような違いがありましたか?
これまでにも紙のマップや各種の情報発信は行ってきましたが、紙で伝えられるのはどうしても限られた情報です。エリア全体のスケール感や、街としての雰囲気を伝えるには紙の良さがある一方で、個店の魅力や、利用者の関心に応じた深い情報を届けるには限界がありました。
その点、デジタルは、その場でより深い情報を届けられる可能性があります。紙とデジタルは置き換えではなく、役割が異なる。その実感がより明確になった取り組みでもありました。
【Q】商店街としての変化はありましたか?
店舗側の意識にも変化が見られました。自分の店舗がコンテンツとして表現されることで、来街者にどう見られているかを意識するようになり、他の店舗の取り組みへの関心や、商店街内での会話も増えたと感じています。
また、これまでこうした取り組みに積極的ではなかった店舗も、説明やフォローがあれば参加できるという感触が得られたことは、商店街にとって一つの前進だったと受け止めています。
【Q】今回の取り組みを通して感じたことを教えてください
今回の実証を通して感じたのは、店舗の魅力が不足しているというよりも、伝わっていない部分が大きいと感じました。その点に対して、現地で情報を確認できる仕組みがあることで、少なくとも最初の接点は変わっていると感じています。
一方で、購買までの導線については今後さらに工夫が必要であるとも認識しています。イベントとの組み合わせや、現地での案内の仕方なども含め、さらに発展させていきたいと考えています。
SoVeCのXRソリューションが観光DXにもたらす価値
今回の実証を通して見えてきたのは、観光DXにおける「情報の届け方」そのものを変える可能性です。魅力ある店舗や場所があっても、外から伝わらないために訪れた人が通り過ぎてしまう——
こうした課題に対し、SoVeCのXRソリューションはソニーの高精度な空間認識技術(VPS)を活用し、街にスマートフォンをかざすだけで、その場所に紐づいた情報が立ち上がる体験を実現します。QRコードを探す手間も専用アプリも不要で、自然な街歩きの延長で情報に出会える点が、従来の観光施策との大きな違いです。
また、SoVeCのXRソリューションの特徴は、単なる情報表示にとどまらず、「人」や「ストーリー」を伝える設計にある点です。店主がARで登場しおすすめ商品を紹介する、抽選などのインタラクティブな仕組みで興味を行動につなげる、多言語対応で訪日外国人にも分かりやすく届ける——
こうした設計は、観光地の本質的な魅力である「その土地ならではの人の温もり」をデジタルで増幅するアプローチです。紙とデジタルが置き換わるのではなく、それぞれの役割を補完し合う観光DXの姿を、現地での体験として具現化できる点に、大きな価値があります。
さらに、街歩き行動のデータを取得・分析できることも、観光DXの観点で重要です。どのエリアに人が集まり、どの店舗に興味が向き、どこで離脱しているのか。XR体験を通じて得られる行動データは、施策の効果検証や次のアクション設計に活かせます。観光に関わる取り組みを、感覚的なものから、データに基づいて継続的に改善できるサイクルへと進化させることができます。
商店街に限らず、観光と消費がうまく結びついていない場面は数多くあります。その地域の人・もの・ストーリーをデジタルの力で引き出し、訪れた人の興味を行動につなげていく——
SoVeCのXRソリューションは、観光と消費をつなぐ役割を担うソリューションとして、さまざまな現場で活用いただける可能性があると考えています。
※QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です
本施策の実施背景について
XR導入の背景や設計意図については、前編の四国運輸局様へのインタビューをご覧ください。
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